建築的な「住みやすさ」の方法の他、自然の光、熱、風などの活用も大切です。人口的(機械的)な「住みやすさ」照明器具や空調機器などの利用で可能ですが、省エネルギーの為にも自然の力を利用する工夫が必要でしょう。

「光」と「あかり」は、異なった性格、性質があるように思います。「光」は、その輝きが自然の発するままで、人の手が加えられていないものとも言えるでしょう。そして「あかり」は、なにがしかの意図を持って、その光が加工されたものといえます。

光の第一の主はなんといっても太陽です。人の手では決して操作することの出来ないものであると同時に、これほど豊かな光の源もありません。左図は自然光がいかに豊かな照度を有しているかを模式的に表したものです。

「あかり」のテクニックは後述するとして、まず豊かな自然光の活用を考えてみましょう。

雨天の日でも実際には3千ルクス程度の照度があります。8畳間ほどの暗室を蛍光灯で同程度の明るさに保とうとすると、2千ワットほどの電灯が必要となります。

健康、省エネに大切
このように自然光はきわめて豊かな光源であり、また、無料のものです。

この自然光を室内に取り入れることは、健康的で省エネルギーの住宅にとってきわめて大切なことです。

図1は、北緯35度における採光可能な時間帯を示しています。日の出から一時間後日の入り一時間前までが、昼間の採光時間として有効になることがわかります。

用途に合わせて窓を
図2は、窓からの光のみちびき方を示しています。窓の取り付けてある方位によって光の性質が異なりますから、よく用途に合わせて合理的に窓を取ることが大切です。

図3は、天窓と側窓の光の量の違いを示しています。窓面積を同じとすると、天窓のABは採光面A'B'に相当します。側窓のCDと比較すると3倍以上の量の光が得られます。雨漏り、直射日光への対策を考慮すれば、天窓がいかに採光として有効であるかわかります。

種々の工夫をして、自然光を有効に室内に取り入れることが大切です。合わせて合理的な窓の配置を考えてください。