実際の生活には四季があり、雨の日、風の日、暑い日、寒い日と種々な環境の変化があります。

「住む」ことに加えて、より快適に「住む」、つまり「住める」ことが次に大切になってきます。「住める」とは「住みやすい」ということです。そのための工夫も図面に表されています。

夏は直射日光をさけたいものです。一方、冬の日ざしは貴重です。季節ごとの太陽高度つまり日ざしの角度を考慮して、ひさしの出の寸法と、その位置が決まります。高温多湿の日本の風土ですから、壁の断熱材も大切です。また、床の高さ、床下の換気、あるいは防湿断熱も考えなければなりません。

これらのことは、主に断面図に表されます。また室のおのおのの壁面を表したものが展開図です。和室の長押(なげし)や、床下と違い棚の様子、窓の高さとその大きさなどが描かれています。絵を掛ける位置とか、スイッチ、コンセントの位置などは平面図と展開図を見比べて検討すると便利です。扉を開けた時かくれてしまうスイッチや、家具の裏に入ってしまうコンセントなどに気付くはずです。また、壁、天井、床などの仕上げ材料は、仕上げ表に室ごとに記入されていますので、展開図とともに見比べていくと、その室の仕上がりの様子がつかめます。また、給湯方式、照明設備、空調換気設備なども設計図に表されています。

「住みやすさ」は住宅にとって大切なことです。しかしながら、快適さを求めるあまり、機械的設備にたよりすぎない工夫がより大切です。「住みやすさ」のための技術的な工夫は、その土地の気候・風土の熟知と、豊富な経験が大切になってきます。

自然の法則を無視することなく、省エネを考慮し、人間も自然の一部分であることを踏まえた技術力が大切です。