平面図で日常の動作や動線が読み取れました。次に大切なのは、平面図でその家庭に合った住宅の機能をよく検討することです。その方法として、図面上で住んでみるのがよいでしょう。
トイレに行きます。スリッパを脱いで扉を引いて中に入る。用を足し出てくると、スリッパは扉に押されて、三歩ほど向こうの片隅に寄ってしまっています。
よくあることです。でも今までの図面との会話をもとに、図面上で住んでみれば、簡単に気付くはずです。
建物が完成すれば、住む前に引っ越しがあります。ボール紙で平面図の縮尺に合わせて家具の寸法を切ります。そして運び込んで下さい。ひょっとすると、二階へ運び上げる時、階段の所で家具がつかえてしまうかもしれません。廊下の幅と室の入り口の位置が問題になることもよくあります。
丁寧な図面には、所有している家具類が破線で描かれています。でも新たに買い換える家具があるでしょう。
やはり住む人が便利なように、家具を自分で配置するのが一番よい方法です。
居間の壁の部分が足りなくて、家具が窓にかかってしまうこともよくあります。もし高さの低い家具なら、窓をつぶすのはもったいないですから、高窓にして下に置くのも一案です。
家具を置いて住む準備が整ったら、トイレに入ったり、子供室を使ったりして、日常の生活を図面上で行ってみるとよいでしょう。より一層、平面図が語りかけてくるものがよく理解できるはずです。そして日常生活で出会う「慌てる行為」などを想定すれば、さらに合理的になります。例えば食事の後片付けが終わっていないときの急な来客などです。居間と食堂の間のスライディングドアーのアイデアなどが浮かんできます。
病人が出た時のことを考えてみる必要もあります。医師をお通しするのは気を使うものです。管理が行き届き、またプライベートな室から少し離れた室があると便利です。そこは来客が泊まる室にもきっと適していることでしょう。平面図(1/50が便利です)を設計士に用意してもらい、日常生活で起こりそうなことを確かめ、よく検討を重ねることが住みよい住宅の計画のコツです。